いままで、彼の挿入法の詳細は門外不出でした。私も彼の口から聞いたことがありませんでした。今回特別に田淵先生の秘伝の挿入技術が直接本人の手で公開されます。多忙なことを考えると今回が最初で最後の歴史的にも非常に貴重な講演になると思います。
略歴
1984年3月 東京大学医学部医学科卒業
1986年4月 国家公務員等共済組合、東京共済病院内科
1989年4月 東京共済病院内科医長
1991年5月 中目黒消化器クリニック開設
1996年5月 東京女子医大非常勤講師
1997年4月 東京大学医科学研究所講師
2002年4月 東京大学腫瘍外科講師
1987年に大腸内視鏡挿入法として、無送気注水挿入法(別名ストレイト法)をオリジナルで発案しました。その方法は、ほとんど痛みがなく、楽に検査が受けられると患者の皆様に大変好評となり、爾来、多数の症例を経験することができました。これまで、約4.3万回の大腸内視鏡検査を行い、約15万個の大腸ポリープを切除してきました。
2003年には、無痛内視鏡検査をご希望になった両陛下の消化器内視鏡検査の担当者に特別に選ばれ、重責を果たし、成功して、感謝していただきました。
無送気挿入法の評判を聞いて、多数の医師が見学に訪れた。後輩の後小路世士夫君、後藤利夫君、鈴木雄久君、矢作直久君や草場元樹君をはじめ、特に熱心だった7-8名の医師が、私からこの技術学び、マスターしました。彼らはいまや、大腸内視鏡の名医として活躍中です。(本人のHPより)
2016年09月
どうして押しても痛くないのか?
S状結腸も横行結腸も早期短縮し、プル法を試みましたが、患者さんの腸が非常に長くプッシュ法に切り替えました。何度も早期短縮を繰り返せばプル法が可能かもしれませんが、時間がかかるので私は2~3回やって見込みがなければプッシュ法に変えます。見学者は「次回もまた見学させてください」といって帰っていきました。
でも、失敗したプル法の試みは決して無駄ではありません。腸のねじれが解消されたからです。たわみは一平面上にあって2次元的なもの、ねじれは一平面上にない3次元的なものです。スコープはストレートの時よりたわんでいるときの方が進めるのにより強い力が必要ですが、ねじれると力が分散して押すのに更に強い力が必要です。水浸法による無痛大腸内視鏡挿入マニュアル p.54
プルからプッシュに切り替えるときに画面が回らないことを確認しながらまっすぐゆっくり押します。まっすぐ押しているのに画面が回ればねじれ始めた証拠です。すぐに引いてねじれのない一平面上に戻します。そうすればねじれがないので痛みの閾値以下の弱い力で押すことができるので、プッシュ法でも痛くないのです。
2016年11月23日スキルアップ医療講演『大腸内視鏡 挿入困難例の解決』講演緊急決定!
医療技術セミナー“スキルアップ”です。お世話になります。さて、助けてください。11月に、他の領域のためにあけていた日曜日が2つ埋まりません。「大腸内視鏡」「挿入困難例」といったテーマで緊急にお願いできませんでしょうか?失礼なお願いで恐縮ですが、よろしくご検討くださいませ。ここで断れば男がすたるので引き受けました。みなさんよろしくお願いします。申込はこちら。


「水浸法の注水量」ほかのご質問
注水量はそんなに多くないとのことですが、先生の動画のように大腸腸管が水浸できないのですが、やはり量が足りないのでしょうか。水浸法の注水量は少なければ少ないほどいいです。要するに先が見えればいいです。水はどんなに少なくても水浸は可能です。水浸には水の量は関係なく空気がなければいいだけです。ですので水浸しないなら空気を抜いてください。水浸法による無痛大腸内視鏡挿入マニュアル p.82
脾湾曲までの前半部のみ水浸法行い、後半は、左下のままダウンアングルレフトターンショートニングの方が肝湾曲の広がりが得やすく挿入しやすい気がしますがいかがでしょうか。後半は空気を入れてプッシュ法にする方がたいてい早く到達できますが、横行結腸が長い人は痛みを伴いかえって時間もかかりますので、ワンパターンメソッドでは後半もプル法でやります。水浸法では水は重力のため下に行きますので、肝彎曲を広げたいなら右側臥位が有利なはずですが、ワンパターンメソッドでは後半は仰臥位で行います。それは横行結腸が重力に引っ張られて勝手に動かない方が横行結腸の短縮がしやすく、プル法がしやすいためです。
もし、先生が後半は空気を入れてプッシュ法でやられるなら、後半も左側臥位のままでやる方法もあるでしょう。もしくは最初から最後まで仰臥位でやる方法も考えられます。プッシュ法はたいてい麻酔を使いますので体位変換がたいへんですので、体位変換しないデメリットよりもメリットの方が大きいからです。
コロンモデルでは水浸では行わず、人では水浸で行っていますがその違いはあるのでしょうか。コロンモデルは空気法のモデルですので水浸法の練習はできません。それでもワンパターンメソッドの練習はできます。
人では大量の空気の代わりに少量の水を使います。人間で空気を入れると早期短縮ができず、コロンモデルのようにワンパターンメソッドができないために人間では少量の水しか入れません。腸管は虚脱していますのでコロンモデルから移行すると画面の見え方が違いますので最初面食らいますが、見慣れればやることは結局コロンモデルと同じワンパターンだと気づきます。水浸法による無痛大腸内視鏡挿入マニュアル p.59
『大腸ファイバー検査用フットスイッチ式電動注水ポンプ』
これは私が1995年に出した水浸法ポンプの特許の概要です。
水浸法による無痛大腸内視鏡挿入マニュアル p.4
出願人
後藤利夫
発明者
後藤利夫
出願日
1995年8月7日
(21年2ヶ月経過)出願番号
1995-230624
公開日
1997年2月18日
(19年7ヶ月経過)公開番号
1997-047427
目的
本発明は大腸ファイバー検査において使用する大腸ファイバーの挿入を容易にするための補助装置としてなされた。本発明は術者の両手の自由を奪うことなく、迅速かつ多量に注水できるため、術者の負担の軽減と検査時間の短縮が図られ従来の水浸法の課題を解決するものである。構成
注水速度の速い電動注水ポンプ1と術者の両手を自由にするフットスイッチ2と電動注水ポンプと大腸ファイバーをつなぐ延長チューブ3から構成される。概要
背景従来大腸ファイバー検査は、患者の大腸の中に空気を入れながら挿入していた(空気法)。この方法はしばしば患者にとって苦痛が大きかった。最近新しい試みとして空気の代わりに水を入れる方法が行われている(水浸法)。水浸法では術者が注射器を用い手押しで注水するが、瀕回に注水するため術者にとって負担が大きく、そのたびに術者の両手の自由が奪われ挿入が中断するうえ注水速度が遅く検査時間も長くかかっていた。大腸ファイバーはもともと先端に送水孔があり、そこから送水するが、これは先端のレンズの洗浄を目的としたものであり、大腸ファイバーの挿入を目的とした注水としては注入速度が遅くその用途には利用できなかった。
概要
本発明は大腸ファイバー検査において使用する大腸ファイバーの挿入を容易にするための補助装置としてなされた。本発明は術者の両手の自由を奪うことなく、迅速かつ多量に注水できるため、術者の負担の軽減と検査時間の短縮が図られ従来の水浸法の課題を解決するものである。
注水速度の速い電動注水ポンプ1と術者の両手を自由にするフットスイッチ2と電動注水ポンプと大腸ファイバーをつなぐ延長チューブ3から構成される。
請求項
請求項1大腸ファイバーと延長チューブで接続したフットスイッチ式の大腸ファイバー検査用電動注水ポンプ。
詳細
[目次]技術分野
0001
この発明は医療上の大腸ファイバー検査の補助装置である。この発明は大腸ファイバー検査において、ファイバーの挿入時に術者が用いる装置である。
背景技術
0002
従来大腸ファイバー検査は、患者の大腸の中に空気を入れながら挿入していた(空気法)。この方法はしばしば患者にとって苦痛が大きかった。最近新しい試みとして空気の代わりに水を入れる方法が行われている(水浸法)。水浸法では術者が注射器を用い手押しで注水するが、瀕回に注水するため術者にとって負担が大きく、そのたびに術者の両手の自由が奪われ挿入が中断するうえ注水速度が遅く検査時間も長くかかっていた。大腸ファイバーはもともと先端に送水孔があり、そこから送水するが、これは先端のレンズの洗浄を目的としたものであり、大腸ファイバーの挿入を目的とした注水としては注入速度が遅くその用途には利用できなかった。
発明が解決しようとする課題
0003
患者にとって苦痛の少ない水浸法が普及するためには、術者にとっての負担を軽減し、検査時間の短縮を図らなければならない。そのためには術者の両手の自由を奪うことなく、迅速かつ多量に注水できなければならない。本発明はこのような課題を解決するものである。
課題を解決するための手段
0004
電動注水ポンプ1にフットスイッチ2を接続し、電動注水ポンプ1と大腸ファイバーの鉗子孔7を延長チューブ3でつないだ。電動注水ポンプを外付けでなく大腸ファイバー装置本体に内蔵した場合は、電動注水ポンプと大腸ファイバーをつなぐ延長チューブは省略できる。フットスイッチの代わりに指押し式のスイッチを大腸ファイバーの操作部につけても両手の自由が確保され、同じ効果が得られる。
0005
大腸ファイバー検査前に電動注水ポンプ1にフットスイッチ2を接続し、電動注水ポンプの送水ノズル5に延長チューブ3を接続する。延長チューブの他方の端を大腸ファイバーの鉗子孔7に接続する。電動注水ポンプのタンク4に水を入れておく。大腸ファイバーの検査中に術者が大腸に注水したいとき、フットスイッチ2を踏むと電動注水ポンプ1が作動し水が電動注水ポンプのタンク4から電動注水ポンプ1に送り込まれ延長チューブ3を通りさらに大腸ファイバーの鉗子孔7を通って大腸ファイバーの先端から患者の大腸に送り込まれる。
0006
電動注水ポンプは市販の家電製品であるフィリップス社製の口腔内洗浄器HP5207、フットスイッチはオリンパス社製MB332、延長チューブは一般の点滴用のラインの一部を切りつとたものをそれぞれ使用した。鹿児島徳洲会病院で1994年に従来の注射器を用いた手押し式の方法と電動注水ポンプをつかった方法を同一の術者によって各々100人の症例で比較検討した。その結果、挿入時の術者の負担の軽減が確認され、挿入時間は患者一人当り平均15分から7分に短縮された。1日あたりの最大検査件数は7人から15人に増加した。
発明の効果
0007
本発明を用いることにより術者は両手の自由を奪うことなく容易に注水できるようになり、術者にとっての負担が大幅に軽減する。また注水によって挿入が中断されず注水速度も速くなるため検査時間が短縮される。患者にとって苦痛の少ない水浸法が術者にとっても負担の少ない検査となり、今後の普及が期待される。
図面の簡単な説明
0008
図1本発明の説明図である。
図2本発明の回路図である。
図1
図2
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00091電動注水ポンプ
2フットスイッチ
3延長チューブ
4 電動注水ポンプのタンク
5 電動注水ポンプの注水ノズル
6大腸ファイバー
7 大腸ファイバーの鉗子孔
8 電動注水ポンプのモーター