水浸法による無痛大腸内視鏡挿入マニュアル

~本を読んだ人も読んでいない人も、水浸法の人もそうでない人も~

『水浸法による無痛大腸内視鏡挿入マニュアル』中外医学社より好評発売中。
本はマニュアル本ですので「なぜそうするか?」より「なにをするか?」の方に力点がおかれています。
このブログでは本を補完するため理論的な面を詳しく説明します。

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2017年06月

読者からアマゾンで残念な評価★★☆☆☆を頂きました。本の内容よりは動画の音声についてのクレームです。
1年前にYouTube動画の方はほとんどが字幕対応していますので、この方はDVDの動画について言っているようです。(2016年06月19日 「動画に字幕をつけました。」
本にも書いたとおり基本的にはYouTube動画のほうでみていただきたいです。DVDは最新版とは限らず、あくまでネットが使えない人用のおまけで、私が好意で配布しているものです。
高評価の理由がわかりません。動画は豊富ですがあまりに説明が不親切です。
・「えーー(ともかくこれが多い!)」とか「あーー」とか「で、」とか不要な言葉や言い間違いが多い。何を言ってるのかわからないところがある。説明は前もって原稿に書くなどして簡潔にして、はっきりとしゃべったものにしてほしい。タダで公開された動画やライブならこのしゃべり方でもしょうがないが、お金を払った商品でこの説明はおかしい。
・説明は音声だけでなく、字幕で画面に表示したり(一部動画は字幕あり)、大事なところは画面を静止したりスローモーションにしてゆっくり説明するなどの工夫がほしい。
・まったく説明がなかったり、声が非常に聞こえづらい動画がある。検査中スタッフ・医師の声と説明の声が丸かぶりでよく聞こえないところもある。
・説明は「SDJです」「脾弯曲に入ります」「プッシュしてます」「ライトターンショートニングしてます」「このへんで引きます」など、現在の状況説明に終始しており、操作を選択した根拠、ポイント、操作の注意などの解説がない。上級者ならわかるが、初心者が見て参考にできる動画ではない。
・アングルチェンジ、脾弯曲の1234、ループ解除など本でいろいろとテクニックが記載されているが、一連の検査の中での解説が本の記載とあまりリンクしていない。

以上が感想です。筆者のテクニックはすばらしいと思いますが、上手な人の検査を淡々と見るだけでは学べません。きちんとクリアーな言葉で説明してほしいと思います。

ところで、この本で私が言いたかったことは

1.水浸法ならすべりがよくて押さなくてすむ。
2.腸管を伸ばさないのでワンパターンで挿入できる。
3.ワンパターンはコロンモデルで練習できる。


ですから、この本は水浸法でワンパターンをするためにコロンモデルで練習する人を対象にしています。ワンパターンメソッドをコロンモデルで練習した人は動画を見ても全部理解できます。

本を読んで頭でわかっても、コロンモデル練習をしないと上達しないので、本当はコロンモデル練習をして欲しいですが、初心者がまず理屈だけ理解したいなら、少なくてもp.69の表でワンパターンメソッドを覚えてください。水浸法による無痛大腸内視鏡挿入マニュアル p.69 表17-2

動画でも私はワンパターンメソッド通りに操作しているだけですので、場所を言えばやることは決まっています。ワンパターンメソッドでは場所と操作は一対一対応ですので、場所の説明だけで何をするのかはわかるのです。

PS.とはいうもののクレームを真摯に受け止め、全90本中42本の動画の音声と字幕を入れ替え、「えー」の回数を減らしました。またDVDも最新版にアップデートしました。旧盤DVDをご希望された方全員に、新盤DVDを無料でお送りしました。

基本的には腸がリダンダントな人と同じです。
リダンダントな人とは、痩せている女性に多く、内臓脂肪が少ないためS状結腸で固定がゆるく、押せば腸が逃げて、画面がくるくると回転する人です。

押せばすぐに捻れますので、画面を回させないようにそっと押し、画面が回り始めたら定点固定で早期短縮を丁寧にしてスコープの直線を維持します。これを続けていくだけであとは何も考えなくても盲腸に着きます。

ワンパターンメソッド=大局的な戦術
定点固定による早期短縮=局地的な戦法

回転異常や内臓逆位などで部位の同定が難しい場合はワンパターンメソッド(大局的な戦術)は使えなくなりますが、定点固定による早期短縮(局地的な戦法)を続けていけば盲腸に到達します。水浸法による無痛大腸内視鏡挿入マニュアル p.77 コラム①

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