水浸法による無痛大腸内視鏡挿入マニュアル

~本を読んだ人も読んでいない人も、水浸法の人もそうでない人も~

『水浸法による無痛大腸内視鏡挿入マニュアル』中外医学社より好評発売中。
本はマニュアル本ですので「なぜそうするか?」より「なにをするか?」の方に力点がおかれています。
このブログでは本を補完するため理論的な面を詳しく説明します。

This page is supported by NPO 日本内視鏡協会

2020年07月

2020年7月26日北千住に千住・胃と腸のクリニックの内覧会に行ってきました。
15年くらい前に千葉西総合病院で「水浸法」の大腸内視鏡を教えた原田英明先生が顧問、勝山泰志先生が医師として勤務するそうです。(院長は早坂健司先生です)
水浸法とプロポフォール麻酔ですから安全で苦痛のない検査が行われると思います。
桑原智子先生の行っている井口病院から歩いて4分くらいです。
井口病院も負けていません。
私の個人的感想では互角です。
共存できたらいいですね。

井口病院

千住・胃と腸のクリニック

設備・環境

ふつう

きれい

医師

ベテラン

中堅

麻酔

プロポフォール麻酔でラク

プロポフォール麻酔でラク

大腸内視鏡

水浸法でラク

水浸法でラク

下剤を飲まない大腸検査

モビ注入法でラク

ふつう

おはようございます。
一昨日久しぶりにギブアップしたケースがありました。
600例で3件目です。

S/Fまではむしろシンプル?と思ったくらいでしたが後半どうがんばってもたわみなく進ませることができませんでした。
しかもお腹がカエルのように出っ張った方で圧迫もまったく効かず。


横行結腸が体型のせいでまっすぐになりにくく、そのせいで先端に力が掛かりにくいので強く押すとSがたわんできます。
このとき介助者に左下腹部を圧迫してもらって、術者が右回転で引くとストレートにできます。これを「左下腹部圧迫のもう一つの用法」といいます。
『水浸法による無痛大腸内視鏡挿入マニュアル p.115 左下腹部圧迫のもう一つの使い方』
このときの横行結腸部分のたわみは「逆α」で、S状結腸部分のたわみは「α」で逆です。
通常は押すときの画面の回転でたわみが作られていることがわかりますが、逆向きのたわみが同時に形成されるとき、画面が回転しないときがあります。
術者はたわみを形成していないと錯覚してしまいます。

両方のたわみができてしまったときはまず脾弯まで戻り、スコープ屈曲部でフックしてSを直線化します。
その後、S状結腸をたわませないように慎重に挿入します。
通常ならSがたわまないように圧迫をきかせたいのですがおなかのせいでそれも上手くいきません。
硬度を固くして、いつもよりオフセット角度を強めに45度くらい斜めに挿入します。(水浸法による無痛大腸内視鏡挿入マニュアル p.117)
S状結腸をたわませずに脾弯曲が通過できたら、あとは横行結腸引き上げをいつもより回数多くしてなんとか横行結腸を直線化します。(水浸法による無痛大腸内視鏡挿入マニュアル p.122)

基本的に、このような人をたわませないで入れるには太くて固いスコープが向いています。
あるなら早めに太いスコープに交換します。
無ければ逆の発想で、細くて長いPCF-Pロングスコープに交換して、ループ覚悟で押し切る手も考えられます。

やせた人はS難しくT簡単、太った人はS簡単でT難しい。(Sを前半、Tを後半と言い換えてもいいです)
太った人は一度たわみ癖が付くとなかなか難しいので、体型を見た瞬間に脾弯曲以降は慎重にやって、一発で決めましょう。

後藤利夫先生

〇〇市のクリニックに勤務しております〇〇と申します。
2016年、学会の書籍売り場で先生の無痛大腸内視鏡挿入マニュアルに出会い購入しました。
それ以来、何十回となく繰り返し読ませていただきました
クリニックでは平日(木曜日以外)は午前中にEGD5件、TCS6件を行っています。(water jet付きのスコープを使用しています)
水浸法による検査を始めてから、挿入時間は若干短くなっている程度ですが、痛みを訴える患者が減りました
なかにはスコープが入っているのがわからないと言われる方もいます
まだまだ不十分ではありますが、努力を続けていきたいと思っています。
 木曜日は別の病院で検査を行っていますが、そこのスコープはwater jet付きではありませんので、水浸法による検査が難しいです。
そこで、その病院でポンプを使用できたらと考えています。
先日、病院からメールがあったと思いますが、それが木曜日に勤務している病院です。
私としては、木曜日は非常勤ですので私の責任で使うとしても病院の許可を得たいとの話をしたのですが、
手違いで先生へ連絡が行ったようです。大変失礼いたしました。

病院は2017年の西日本豪雨で甚大な被害を受け、その状況はたびたびテレビ等で報道されました。
災害から2年が経ちましたが、以前の状況にもどるには程遠いです。
内視鏡検査と治療により少しでも地域の医療と病院に貢献できたらと思っています。
どうぞよろしくお願いします。


水浸法を実践していただき、ありがとうございます。
苦痛が減ったと聞き、大変嬉しく思います。
クリニックにポンプを送らせていただきます。
よろしくおねがいします。
後藤

<<補足>>
1.『水浸法による無痛大腸内視鏡挿入マニュアル』は今までの常識と違うオリジナルの理論によって構成されています。もともと物理学を目指した筆者が、挿入法の過去の因習や伝統を捨て、実験によって一から原理を考えて理論化したものです。
従来の挿入法から入る人は何回も読まないと理解できないと思います。この方は何回も読んで、完全に理解し、プルでの挿入ができているから「入っているのがわからない」レベルに達したのだと思います。
2.挿入時間は気にしないでください。水浸法を含め腸管が虚脱している無送気法系は、送気法より苦痛は少ないですが時間はかかります。私は無痛か時短かの二者択一で無痛をとったまでです。
私が時間を記録するのは競うためではなく、挿入困難度の目安になって次回検査時の参考になるからです。

モビプレップ注入法で大腸内視鏡検査を行っていますが93歳の患者でも問題なく出来るでしょうか?
高血圧の薬を飲んでいる以外、年齢に比ししっかりしています。
何か注意することがあればアドバイスお願いします。

モビプレップ注入法とは胃カメラの時に大腸内視鏡のための下剤を内視鏡で注入する方法です。
患者さんは自分で下剤を飲まなくても大腸内視鏡を受けることができてラクです。

わたしも去年、当時93歳の実父の内視鏡検査の時にモビプレップ注入法を行いました。
モビ注入法は高齢でも問題なく可能です。

<高齢者のモビ注入法のアドバイス>
1.反射は起こらないでしょうから、プロポフォール麻酔は無しか浅めで大丈夫です。
2.万一汚れてもいいように、検査前に検査着、検査パンツに着替えます。
3.認知症など便漏れを起こしそうな人は、注入中に肛門をかるく手で押さえます。
4.検査後、早めに起こしてトイレに連れて行きます。
5.一般に高齢者は若い人よりは、きれいになるのに少し時間がかかります。

水浸法ポンプは医療承認も認可も得ていません。
それでも使用する医師が自己責任で使う分には法的に許されます。
(一般人相手なら違法ですが医師相手なら合法です)
そのときの事故責任は製造・販売した医師ではなく、使用する医師のものです。
そこら辺のご理解がないとお分けできません。

こちらの事務の方は私のことを医師と知らず、かつ何という名の医師が使うか言わず、病院名の請求書を要求してきたのでお断りしました。

後藤 様
お世話になっております。
こちら○○病院 事務部○○と申します。
ネットで拝見しました、水浸法ポンプについて、当院でも導入したくご連絡させていただきました。
購入の場合はどのような手順があるかどうか?併せて教えていただけますでしょうか?

現在、接続チューブを自作していただく仕様になっています。
その分3000円安く、価格は税込み送料込みで7000円です。
接続チューブの作り方は以下のサイトにあります。
http://水浸法.com/archives/33620959.html
それでよろしければ、お送りいたします。
ポンプ到着後、問題なければ同封した振込先に7000円を振り込んでください。
このポンプは使用する医師の自己責任でお使い下さい。
後藤利夫

後藤利夫 様
お世話になっております。
水浸法ポンプについて、正式にご注文したくお願いできますでしょうか?
請求書先は 
 ○○病院
でお願いいたします。

すみません。
この機械は医師が購入し、医師の自己責任で使用するものです。
医師直接にしか販売しておりません。
代理人を通しての販売はしていません。
今回は請求書の宛先が医師でなく病院で、○○さんも事務の方ですので販売できません。
ご希望に添えなくて申し訳ありません。
ポンプの作り方は「水浸法による無痛大腸内視鏡挿入マニュアル」p.80に書いてありますのでご自分でお作りになることをおすすめします。
後藤利夫


↑このページのトップヘ