私の検査を見学してよく「困難症例をどうやるのか見たいです」と言われなす。
でも、お見せできおるようなものはとくにありません。
私はいつも普通の挿入の症例を見て欲しいと思っています。

挿入困難例は実は間違った挿入の結果、自分が作ったものだと思うからです。
不用意に押したり、送気をしすぎるから短縮不能のループを作り、一旦ループを作るとループ癖が付いて少し押しただけでループ再形成を起こします。

簡単な症例にコツがあるのです。
誰もが入る症例でいかに押しの要素を無くするかを突き詰めることが大事ななのであって、押しまくってループを作って解除できない状態でいかに挿入するかが挿入法ではないのです。
そのような状態をいかに作らないかが挿入法なのです。
プッシュしてどうしようもなくなった状態でどのように挿入するかを究明することではなく、そのような状態にどうやったらならないかを究明することが真の挿入法だと思います。

合併症を良く起こす外科医が合併症の対応の本を書いたら合併症の権威になったという笑い話があります。
本当に良い外科医は合併症を起こさない医師です。

本当に良い内視鏡医は挿入困難(挿入時間10分以上のはまった例)にならない医師です。
挿入困難に強くなるより、挿入困難などに陥らないように平素気を付けるべきです。
つまり、簡単な症例を丁寧に挿入し、腸管を伸ばさないように平素から慎重に挿入することに尽きます。
一旦伸ばしてしまうと伸び癖が付いて挿入困難になりがちだからです。

私は、実は挿入困難の対処法は良く知らないです。それは挿入困難になった経験が少ないからです。