水浸法と送気法の一番の違いは腸管の膨らみ具合です。
水浸法は無送気法から進化したもので、無送気法の一種です。
ですから腸管は常に虚脱(collapse)しています。
腸管が虚脱していると腸を刺激しないため、腸管運動が誘発されにくく、時間が経っても痙縮(spasm)が起きません。
例え挿入に20分かかっても起きないのが普通です。
盲腸まで到達してそこで初めて空気を入れると、急に腸が運動を始めることを多数経験しています。

ところが水浸法の初心者や、送気法から始めた人は水を入れすぎて痙縮を引き起こす人がいます。
虚脱と痙縮はどちらも管腔は細くなっていて画面は似ていますが、全くの別物です。
虚脱は内圧は低く、痙縮は内圧が高くなっています。
虚脱時に管腔の方向が見えないときに少し水を入れるのは大丈夫ですが、痙縮時に管腔を広げようとして水を入れてはいけません。
入れた水は痙縮の起きてない場所に逃げて、管腔は広がらないばかりか、圧がますます高くなり痙縮が止まらなくなります。
一度、痙縮が起きるとスコープが重くなり、挿入に力を要します。私に変わってもなかなか挿入は難しいです。
私自身、入れる水の量を極力少なく心掛けていて痙縮は滅多に起こさせないので、痙縮した腸管に慣れていないせいもあります。

虚脱(collapse)させれば、痙縮(spasm)は起きない。
痙縮(spasm)が起きたのは、虚脱(collapse)させなかったから。


痙縮がおきたら、水と空気を吸引し、必要あれば鎮痙剤を追加し、治まるのを待ちます。
(直腸やS状結腸ならバイブレーションすることもあります。)

『水浸法による無痛大腸内視鏡挿入マニュアル p.154 44.挿入困難のパターン5-スパスムの強い人-』