水浸法による無痛大腸内視鏡挿入マニュアル

~本を読んだ人も読んでいない人も、水浸法の人もそうでない人も~

『水浸法による無痛大腸内視鏡挿入マニュアル』中外医学社より好評発売中。
本はマニュアル本ですので「なぜそうするか?」より「なにをするか?」の方に力点がおかれています。
このブログでは本を補完するため理論的な面を詳しく説明します。

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カテゴリ: 最新症例

都内大学病院勤務の若い先生が昨日、湘南厚木病院に見学に来ました。
午後は大腸検査が6件でしたが、医師が3人いたため、私は2件しかしませんでした。
空いている内視鏡室にコロンモデルがあったので、それで指導しました。
本人は本を読んで水浸法を始めて、S状結腸はかなり苦痛なく挿入できるようになったが横行結腸が難しいという。
S状結腸はS頂部をアップアングルでフックして右回転で短縮する」ことは最近では誰でも知っていますが、「横行結腸は中央部をダウンアングルでフックして左回転で短縮する」ことを知らない人は多いです。本人も本でワンパターンメソッドは読んでいるのですが身に付いていません。
そこで、横行結腸を下に引き下げるために元々ついているバネをはずして、ねじを2倍下に付け直し、弱いバネの代わりに輪ゴムを4重にして、横行結腸癒着モードに改造しました。これはプラスドライバー1本でできます。
さらに練習効果を高めるために胃カメラでコロンモデル練習しました。胃カメラは短いのでプッシュすると長さが足りません。プル法で入れないといけません。しかも細いのでたわみやすく下手な操作をするとすぐにたわみます。正しい操作が必要です。しかしワンパターンメソッドを正確に実行すれば問題なく挿入できます。
私が最初はゆっくりだんだん早く、数回デモした後20~30分一人で練習してもらいました。最後に見たらちゃんとできるようになっていました。その後2人目の患者さんの見学をしてもらったら、横行結腸の挿入画面がコロンモデルと全く同じだったと行っていました。自信を付けて帰ってもらいました。
やはり百聞は一見にしかずですね。

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乳がん術後の母の腫瘍マーカーが少し上昇したこともあって、湘南厚木病院で両親が(おそらく人生最後の)人間ドックを受けました。
1日目はPET検査をし、2日目の胃カメラ・大腸内視鏡は私が実施しました。
父94才、母92才(写真は去年)です。こんな高齢者に検査をする意味があるのかという意見もあると思います。
しかし、母の姉は106才で健在です。健康であればあと10年以上生きるかも知れません。
がんが進行していて大きな手術や、放射線治療、化学療法はしなくても、早期がんで内視鏡でとれるものなら取っておきたい。しかもがん発生の可能性は年とともに増大します。

ところがちょっとした失敗をしてしまいました。
もともと薬に敏感でかつ体重も40kgしかないのに通常量の下剤を飲ませてしまいました。
しかも5年前にやったときにも、母は前日の下剤が効きすぎて腹痛を起こしたのでした。
丁度その日取材があり時間が迫っていたのでそのことをすっかり忘れていました。
やはり夜中の3時頃に腹痛で起きました。
排便後らくになったそうですが、翌日看護師さんから下血の報告あり。内視鏡をしたら虚血性腸炎を起こしていました。
下行結腸6時方向に1条の長さ10cmほどの縦走潰瘍があり、そこから出血していたのです。
そういえばたまたま内視鏡の日に虚血性腸炎を起こす人が今までもまれにいました。
千人に1人くらいですが、体の小さな高齢女性に多かった気がします。
いずれも腸炎の程度は軽く、もしかすると発生機序が少し違うのかも知れません。(虚血でないとか)

たまたま翌日、体の大きな中年男性でS状結腸に強い癒着のある人がいました。
挿入前からその部位に炎症があったので、検査後に「昨晩腹痛はなかったですか?」と聞くと「夜中の3時に痛みで起きました。」と言ってました。
便秘の人や癒着のある人で挿入前に急性腸炎のある人はもしかすると前日の刺激性下剤(当日の容量下剤ではなく)が原因かも知れません。

母はその他に異常なく、自宅安静で回復しました。父は盲腸に5mmのポリープがあり切除しました。
PETも異常なく、検査を受けて安心したと喜んでいます。

2019年度の湘南厚木病医院での私の大腸内視鏡検査件数は265件でした。
挿入時間の最速は1分22秒、最長は20分46秒、平均は5分28秒でした。
初めて平均が5分を超えてしまいましたが、時間を競っているわけではありません。
今後も患者様に痛みを感じさないよう、より一層努力してまいりたいと思います。
2019厚木棒
2019厚木円

8/4(日)、年に一度の恒例のスキルアップ講演を行いました。百聞は一見に如かず。今回は病院での実演でした。参加者の質問も多く、ワンパターンメソッドをコロンモデルで具体的に説明できたと思います。実際に参加者にコロンモデルを実地に指導したり、午後は患者さんでポリペクあり、ちょっと困難例あり、別な水浸法の先生の挿入ありと多彩で良かったと思います。
井口病院内視鏡室のクーラーが調子悪く、この日は暑かったため参加者には不便をおかけしたことをお詫び申し上げます。



■第562回セミナー『無痛大腸内視鏡挿入法”水浸法”の実演セミナー』は盛会裏に終了しました。
 8月4日(日)に開催しました第562回医療技術セミナー『実地医家のための無痛大腸内視鏡挿入法”水浸法”の実演セミナー』は盛会裏に終了しました。
 講師には、タイトルから即座にご推測いただけるかと思いますが、新宿大腸クリニック 院長 後藤利夫先生です。昨年の秋から、東京足立区の北千住にあります井口病院でも「大腸内視鏡検査」を担当されるようになられて井口病院の内視鏡検査室をお借りしてのセミナーです。開催中には院長であります高野良裕先生もご挨拶においでいただきました。
 講義は、午前、午後下記の通りでした。
1.無痛大腸内視鏡挿入法“水浸法”の理論と
   コロンモデルを使った実演
2.ヒト・モデルを使った大腸内視鏡検査
    老若男女 5名を対象として
 午前中は、コロンモデルを使っての挿入原理と方法の解説が行われました。その後半には希望された受講者が実際に次々と参加されました。生きたノウハウが続々と語られました。 
 午後には、実際に患者さんをお願いしての挿入実演です。お願いできた患者さんは5名で、男女、年齢でバラエティがあり、挿入の実演をされながらの解説と、受講者とディスカッションをされながらの実演でした。また、検査途中で見つかったポリープの挟み方、ポリペクトミー(切除)のやり方についても、見事なさばきで、受講者各位の驚嘆を誘っておられました。さらに、途中から井口病院での同僚にあたります桑原先生が交代されましたが、もともと「送気法」を学ばれた方ですが、後藤先生との出会いで、「水浸法」に変えられたのだそうです。「送気法」と対比されながら理論といい、技術といい、その素晴らしさについて解説していただきました。
 痛くない、誰でも受けられる大腸内視鏡を目指して、この素晴らしい「大腸内視鏡挿入法”水浸法”」の普及と発展のお手伝いを今後も続けていきたいものだと思っております。(スキルアップ代表 轟豊語)

水浸法による無痛大腸内視鏡挿入マニュアル p.29

この動画は2019/07/14に中国の山東大学付属病院で「無痛大腸内視鏡、水浸法」の講演を行った時に撮影されました。
中国の病院は、上から3級、2級、1級に分けられ、さらに3級は甲、乙、丙に分けられます。
山東大学付属病院は、中国に28個しかない3甲病院の一つです。









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