水浸法による無痛大腸内視鏡挿入マニュアル

~本を読んだ人も読んでいない人も、水浸法の人もそうでない人も~

『水浸法による無痛大腸内視鏡挿入マニュアル』中外医学社より好評発売中。
本はマニュアル本ですので「なぜそうするか?」より「なにをするか?」の方に力点がおかれています。
このブログでは本を補完するため理論的な面を詳しく説明します。

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カテゴリ: 最新症例

全国の無痛大腸内視鏡「水浸法」の病医院に1件追加です。
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ほなみクリニック
〒247-0056 神奈川県鎌倉市大船1丁目23−31 サトウビル 2F
0467-46-2500
https://honami-cl.com/
タルマン寺本穂波

その他、私のスキルアップ水浸法セミナーに参加したり、『水浸法による無痛大腸内視鏡挿入マニュアル』など読んで日々の診療で『水浸法』を実施している病医院等あれば一覧に追加しますので、私にメールしてください。

『水浸法による無痛大腸内視鏡挿入マニュアル p.183 -全国の無痛大腸内視鏡「水浸法」の病医院-』

先日、若手を指導していたとき、たまたま患者さんが体格のいい老人男性でややメガコロン気味の人でした。

いつも通りSを直線化して脾弯曲に着いたのですが、そこから進まず、押して痛がらせました。
Sの直線化が不十分で再ループを作ったと考え、ライトターンショートニングによるSのループ解除を指示しましたが、回転不足(本来180度必要ですが90度くらいしかしなかった)もあってできませんでしたので、私に変わりました。

ループ解除は、初めまっすぐ引いてループ最小円を作り、引くのを止めて90度回し、さらに90度回しながら30cm引くのがルーチンです。ところが、その人は回転途中で抜けてきます。
そこで、体位を仰臥位から左側臥位に変えて、全く同じことをしたら、今度は一発でループ解除できました。
見ていた医師は思わず「うわっ」と声を上げました。

ループを解除するためには、いったんスコープの作る円がおなかの中で立ち上がらないといけませんが、その十分な高さがないと途中で抜けてきます。
仰臥位から左側臥位にすることによって、重力によって凹んでいたお腹が前に出るので、高さが確保されループ解除がしやすくなったのです。

スコープの輪の直径が10cmですので、それより狭い間隔の2枚の板で挟むとそのループは解除できません。(2枚の板理論)
『水浸法による無痛大腸内視鏡挿入マニュアル p.56 2枚の板理論』
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ポイント:ループ解除は左側臥位で

本にもちゃんと「患者さんを仰臥位から側臥位にするなども効果的です」と書いてあります。『水浸法による無痛大腸内視鏡挿入マニュアル p.59』

検討.
本症例は最初からずっと硬度0でした。
脾弯曲のところで、硬度を1上げていれば、そもそもループを作らなかったかも知れません。

都内大学病院勤務の若い先生が昨日、湘南厚木病院に見学に来ました。
午後は大腸検査が6件でしたが、医師が3人いたため、私は2件しかしませんでした。
空いている内視鏡室にコロンモデルがあったので、それで指導しました。
本人は本を読んで水浸法を始めて、S状結腸はかなり苦痛なく挿入できるようになったが横行結腸が難しいという。
S状結腸はS頂部をアップアングルでフックして右回転で短縮する」ことは最近では誰でも知っていますが、「横行結腸は中央部をダウンアングルでフックして左回転で短縮する」ことを知らない人は多いです。本人も本でワンパターンメソッドは読んでいるのですが身に付いていません。
そこで、横行結腸を下に引き下げるために元々ついているバネをはずして、ねじを2倍下に付け直し、弱いバネの代わりに輪ゴムを4重にして、横行結腸癒着モードに改造しました。これはプラスドライバー1本でできます。
さらに練習効果を高めるために胃カメラでコロンモデル練習しました。胃カメラは短いのでプッシュすると長さが足りません。プル法で入れないといけません。しかも細いのでたわみやすく下手な操作をするとすぐにたわみます。正しい操作が必要です。しかしワンパターンメソッドを正確に実行すれば問題なく挿入できます。
私が最初はゆっくりだんだん早く、数回デモした後20~30分一人で練習してもらいました。最後に見たらちゃんとできるようになっていました。その後2人目の患者さんの見学をしてもらったら、横行結腸の挿入画面がコロンモデルと全く同じだったと行っていました。自信を付けて帰ってもらいました。
やはり百聞は一見にしかずですね。

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乳がん術後の母の腫瘍マーカーが少し上昇したこともあって、湘南厚木病院で両親が(おそらく人生最後の)人間ドックを受けました。
1日目はPET検査をし、2日目の胃カメラ・大腸内視鏡は私が実施しました。
父94才、母92才(写真は去年)です。こんな高齢者に検査をする意味があるのかという意見もあると思います。
しかし、母の姉は106才で健在です。健康であればあと10年以上生きるかも知れません。
がんが進行していて大きな手術や、放射線治療、化学療法はしなくても、早期がんで内視鏡でとれるものなら取っておきたい。しかもがん発生の可能性は年とともに増大します。

ところがちょっとした失敗をしてしまいました。
もともと薬に敏感でかつ体重も40kgしかないのに通常量の下剤を飲ませてしまいました。
しかも5年前にやったときにも、母は前日の下剤が効きすぎて腹痛を起こしたのでした。
丁度その日取材があり時間が迫っていたのでそのことをすっかり忘れていました。
やはり夜中の3時頃に腹痛で起きました。
排便後らくになったそうですが、翌日看護師さんから下血の報告あり。内視鏡をしたら虚血性腸炎を起こしていました。
下行結腸6時方向に1条の長さ10cmほどの縦走潰瘍があり、そこから出血していたのです。
そういえばたまたま内視鏡の日に虚血性腸炎を起こす人が今までもまれにいました。
千人に1人くらいですが、体の小さな高齢女性に多かった気がします。
いずれも腸炎の程度は軽く、もしかすると発生機序が少し違うのかも知れません。(虚血でないとか)

たまたま翌日、体の大きな中年男性でS状結腸に強い癒着のある人がいました。
挿入前からその部位に炎症があったので、検査後に「昨晩腹痛はなかったですか?」と聞くと「夜中の3時に痛みで起きました。」と言ってました。
便秘の人や癒着のある人で挿入前に急性腸炎のある人はもしかすると前日の刺激性下剤(当日の容量下剤ではなく)が原因かも知れません。

母はその他に異常なく、自宅安静で回復しました。父は盲腸に5mmのポリープがあり切除しました。
PETも異常なく、検査を受けて安心したと喜んでいます。

2019年度の湘南厚木病医院での私の大腸内視鏡検査件数は265件でした。
挿入時間の最速は1分22秒、最長は20分46秒、平均は5分28秒でした。
初めて平均が5分を超えてしまいましたが、時間を競っているわけではありません。
今後も患者様に痛みを感じさないよう、より一層努力してまいりたいと思います。
2019厚木棒
2019厚木円

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